わたしは「住宅資金贈与の非課税」を受けられるのか?~10のチェック項目 - 住宅資金贈与の非課税規定(その③)

このブログのビューアー数ですが、9月下旬より「住宅資金等資金の贈与税の非課税」に関するものへのアクセスが再び増えています。

お読みいただいた方におかれては、本当にありがとうございます

この背景には、時期的なもの、つまり、
令和3年度を初年度とする、住宅ローン控除の期間延長(通常の10年間から、プラス3年の13年間)の特例を受けるためには‥、
注文住宅については、令和3年9月末
分譲住宅や中古住宅などについては、令和3年11月末
まで契約締結が必要になっていることが関係している、と感じます。

一方、私が、この特例について これまで記したブログは、「居住時期」にフォーカスしたものでした。

そこで、本日は、全体を俯瞰(ふかん)する観点から、「どのような贈与ならば、令和3年度に『住宅資金等資金の贈与税の非課税』を利用することができるのか?」について、チェックシート形式で記します。

住宅資金贈与の非課税規定‥10のチェック項目

原則、以下のチェック項目(※)のすべて「はい」がつけば、所定の贈与税確定申告により、この特例の適用可能となります。
この特例にかかる、令和2年分国税庁チェックシート(新築又は取得用)を基礎に、令和3年度税制改正を加味したもの。

1.あなたは、贈与を受けたときに、贈与者の直系尊属(子や孫など)ですか?
→ 配偶者の父母あるいは祖父母は、「直系尊属」となりません(ただし、養子縁組をしているときは、直系尊属に該当します)。例えば、家を購入する奥さまが、義理の父母から現金贈与を受けるケースでは、この特例は使えません。

2.あなたは、贈与を受けた令和3年の1月1日において、20才以上ですか?

【2022年9月記】成年年齢についての民法改正を受け、この年齢要件は「18才以上(ただし、2022年4月1日以降の贈与に適用)」に引き下げられています。

3.あなたの贈与を受けた年分の所得税にかかる合計所得金額は、2,000万円以下(※)ですか?
対象となる「住宅用家屋」の床面積が40㎡以上50㎡未満のときは、合計所得金額1,000万円以下となります(令和3年度の改正項目)。

4.あなたは、平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告において、この規定の適用を受けていませんね?

5.対象となる「住宅用家屋」は、あなたの配偶者や親族などの「身内」から買ったもの、あるいは、これら「身内」に建てさせたものでは、ありませんね?

6.贈与を受けたお金について。そのすべて(全額)を、その住宅用家屋の「新築」・「取得」に充て(あて)ていますか?
→ 贈与を受けたお金の一部を、住宅ローンの返済など別のために充てたときは、適用NGとなります。

7.「6」の「新築」または「取得」について。贈与年の翌年3月15日までに、対象となる家屋の「新築」の工事は完了(新築の工事の完了に準ずる状態を含む)、または、「取得」をしていますか?
→ ・「新築の工事の完了に準ずる状態」とは何を意味するのか?、
・また、「取得」ケースにおいて、贈与の翌年3月15日時点で求められる要件は何なのか?
 などについては、以下をご参照ください。
  ✓「新築」のときは、「来年3月15日までに、棟上げできるか?」をチェック- 住宅資金贈与の非課税規定(その①)

  ✓「取得」のときは、「来年3月15日までの『引渡し』は大丈夫か?」をチェック- 住宅資金贈与の非課税規定(その②)

8.その「住宅用家屋」は、次の要件を満たしていますか?
(1)日本国内にあり、登記簿上の床面積(マンションの場合は、専有部分の床面積)は、40㎡以上240㎡以下、かつ、その床面積の1/2以上が居住の用に供されている。

(2)以下は、居住用家屋を「取得」する方を対象に‥
その「取得」した家屋は、次のいずれかに該当しますか?
①建築後、使用されていない
②建築後、使用されているが、その「取得」の日以前20年以内(耐火建築物のときは、25年以内)に建築されたもの

【2022年9月記】令和4年度税制改正を受け、この既存住宅についての築年数要件は「昭和57年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)」へ緩和されています。

③建築後、使用されているが、耐震基準に適合するものとして一定の証明を受けたもの
④建築後、使用されているが(上記の②および③のいずれにも該当しないものに限る)、その家屋の取得の日までに一定の耐震改修を行い、かつ、一定の証明を受けたもの

9.贈与を受けたときに、日本国内に住所を有し、かつ、日本国籍を有していましたか?

10.贈与の翌年3月15日までに、その家屋に居住する、または、贈与の翌年12月31日までに遅滞なく居住する見込みですか?
→ 令和3年分の贈与税確定申告において、
・前者については、そのエビデンスとして、登記事項証明書の提出が、
・後者については、これを約する書類の作成・提出
必要となります。

そのほか①‥非課税となる限度額

非課税限度額は、次の区分に応じた、下表それぞれの金額です。

【2022年9月記】令和4年度税制改正を受け、2022年(令和4年)1月1日以降の住宅取得等資金贈与にかかる非課税限度額は、①省エネ住宅等の良質な住宅‥1,000万円、そのほかの住宅‥500万円に変わっています。

なお、非課税限度額は、受贈者ベースとします。
(贈与者ごとでは、ありません)

例えば、「子ども」が、その「父」と「祖母」から、それぞれ1,500万円の現金贈与を受け、
①令和3年11月1日に、「省エネ等住宅」に該当する「分譲住宅」の購入を締結し、
②令和3年12月末までに、その住宅の引渡しを受け、かつ、実際に入居をはじめた、
ケースを想定しましょう。

この「子ども」にかかる本特例の非課税限度額は、受贈者(=子ども)あたりの1,500万円です。
(「父分 1,500万円、祖母分 1,500万円、あわせて3,000万円」とは、なりません)



1.住宅用家屋の新築等にかかる消費税率10%の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日省エネ等住宅(※)左記以外の住宅
平成31年4月1日から令和2年3月31日まで3,000万円2,500万円
令和2年4月1日から令和3年12月31日まで 1,500万円1,000万円

2.上記「1」以外の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日省エネ等住宅(※)左記以外の住宅
~平成27年12月31日まで1,500万円1,000万円
平成28年1月1日から令和2年3月31日まで1,200万円 700万円
令和2年4月1日から令和3年12月31日まで 1,000万円 500万円

所定の、省エネルギー性、耐震性、あるいは、バリアフリー性を備えた住宅。

そのほか②‥来年3月15日までの申告が、絶対条件

納税者にとって有利となる制度の中には、確定申告の期限後でも、一定の条件をみたせば、税務書(国)が申告書を受け付けるものもあります。

しかし、 この特例を受けるためには、法令の定めるところにより、法定申告期限(※)までに贈与税申告書を提出することが絶対条件となります。

※ 令和4年分の場合、令和5年3月15日


一日たりとも、法定申告期限を経過した申告書は、一切、受け付けられません。

以前のブログにも記しましたが、この特例にかかる確定申告への要添付書類は、種類が多いです。

また、ハウスメーカーなどによる記入・押印が必要なものもあります。

余裕あるスケジュリングをおすすめします。

以上

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