住宅ローン控除などの所得税や贈与税の申告にて、登記事項証明書【原本】の添付省略が可能になっています

1月4日より、e-Taxでの令和3年分・確定申告がはじまっています。

申告内容に応じて、さまざまな書類を”もれなく”かつ”正確”に整える必要があります。

(国税庁が求めるものと合致していないと、申告書を提出した後に「形式的な書類不備があります。再提出をお願いします」との連絡が入ります)

とくに、
初年度の住宅ローン控除
住宅資金取得等資金の贈与の非課税の特例(以下、住宅資金贈与の特例)、
・あるいは、居住用財産を売却したときの軽減税率や特別控除などの譲渡所得税の特例
などでは、申告書に添付すべき書類は、多岐にわたります。

一方、納税者からすれば、これらの申告内容については、一生のうちに何度も、その適用を国(税務署)へ求めません。

ほとんどの人にとっては、生涯に一度(か、せいぜい二~三度の)の申告対応です。

そのため、必要書類の理解や取り寄せなどに、フラストレーションが余計にかかります。

そのなか、行政機関相互のデジタル化の進展などを背景に、今年度の所得税(初年度の住宅ローン控除など)や贈与税申告において、登記事項証明書(登記簿謄本)【原本】の添付が省略可能になっています(ただし、所定の代替策を行うことが必要です)。

一つだけの書類提出項目ながら、書類準備の手間を確実に減らせる可能性があります。

添付の代わりに、
・申告書などへの記載、
・また、提出が求められるもの、
などを記します。

これまでは、住宅・居住用財産などの「登記事項証明書【原本】の添付」以外の方法は認められず

住宅ローン控除(初年度)の適用や住宅資金贈与の特例などを受けるためには、確定申告書に、対象となる住宅などの登記事項証明書【原本】の添付が必須でした。

つまり、
・登記事項事項証明書の【写し】、
・あるいは、インターネット上で登記内容を確認・取得できる「登記情報提供サービス」(※)の登記情報、
は、『添付書類』として 不可だったのです。

登記所が保有する登記情報を、インターネットを通じて確認できる有料サービス

そのため、納税者は、
・手もとに、登記事項証明書【原本】がないときは、法務局に出向くなどして取り寄せる、
・あるいは、手もとに、登記事項証明書【原本】があり、それを税務署に提出するにしても、ご自分の手控えが欲しければ、そのコピー等を取っておく、
という手間(コスト)がかかっていました。

さらに、ひとりの納税者が、その年度の確定申告において、二通()の登記事項証明書【原本】をそろえて提出するケースもありました。

例えば、父母等からの贈与による住宅資金と、住宅ローンによるおカネ等を組み合わせ、住まいを購入等したケースです。

贈与の時期と、新居への入居等のタイミング次第ながら、同一年度の確定申告において、
・住宅資金贈与の特例、
・初年度の住宅ローン控除、
の双方の適用を受けるため、別々に、登記事項証明書【原本】を提出せざるを得ませんでした。

(なお、住宅ローン控除の計算における「住宅の取得対価の額」から、贈与の特例を受けた金額は差し引きます)

令和3年度は、申告書への不動産番号等の記入、あるいは、同番号等の記載のある 他の書類の提出などでも、OKに

令和3年度・税制改正を受け、次のそれぞれの申告内容ごとに、①あるいは②の代替方法をもって、登記事項証明書【原本】の提出は省略できるようになりました。

キーワードは、不動産番号です。

初年度の住宅ローン控除住宅資金贈与の特例
※ 贈与税では、この他、「贈与税の配偶者控除の特例」でも
一定の譲渡所得税の特例(以下は、主なもの)
・居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例、
・被相続人の居住用財産を売却した場合の30百万円の特別控除、
・一定の居住用財産の譲渡損失の特例、など
申告書とセット提出する計算明細書の所定の箇所への、不動産番号の記入

あるいは、

登記事項証明書の【写し】の提出
申告書への不動産番号および土地・建物にかかる一定事項の記入

あるいは、

登記事項証明書の【写し】などの不動産番号等の記載のある書類の提出
不動産番号などを記した、一定の明細書の提出

あるいは、

登記事項証明書の【写し】などの不動産番号等の記載のある書類の提出
(国税庁「令和3年分 確定申告特集」の掲載資料より編集)

ご参考までに、以下に、
・住宅ローン控除の計算明細書(上表の①に記載)、
・住宅資金贈与の特例の申告書(同上)、
の該当部分を添付します(赤字囲みは、ブログ筆者が付したもの。不動産番号等に関する事項で、いずれも、令和3年分より追加)。

不動産番号とは? どこで確認できる?

不動産番号とは?

不動産番号(※)は、不動産を区別するため、
・土地は、1筆ごとに、
・建物は、1戸ごとに、
必ず付与されています。
13桁のランダムな数値で、法務局が不動産登記法に基づき管理

・土地についての、所在および地番、
・あるいは、建物についての、家屋番号、
がわからなくとも、土地や建物は、この不動産番号により特定されるのです。

不動産番号は、どこで確認できる?

登記事項証明書(登記簿謄本)の表題部、「登記情報提供サービス」上の登記事項データ(土地全部事項、建物全部事項)でも表題部に、必ず記載されています。

したがって、
・法務局に出向くまたはオンライン申請により、登記事項証明書の交付を受ける、
・あるいは、「登記情報提供サービス」を利用し、登記事項データを取得する、
ことにより確認できます。

ただ、不動産番号のみを知りたいときは、後者がスピーディで楽です。

むすび

本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

確定申告において、原本の提出が求められるものは、まだまだ、たくさんあります。

例えば、初年度の住宅ローン控除では、「すまい給付金」などの市町村からの補助金決定通知書などです。

とはいえ、確定申告にかかる書類の取り寄せの手間は、少しでも減らしたいもの。

登記事項証明書【原本】の添付を省ける術(すべ)ができたこと、ご活用ください。