2022年。「還付申告」は、2017年1月1日からの5年間が対象

会社員を辞めた直後の昨年3月、東京国税局の確定申告電話相談員に従事しました。

その際、お問い合わせの多かった項目の一つが、「所得税の還付を受けるための手続き(還付申告)は、過去分いつまでさかのぼって行えるのか?」。

このご照会は、

①過去数年前に支払った、高額の医療費の領収書が出てきた。その年分の医療費控除を、今からできるか?

②2019年(令和元年)分の確定申告期限までに、住宅ローン控除(初年度)の書類を整えることができなかったため、確定申告せず。この確定申告時期(2020年・令和2年分)に、初年度の住宅ローン控除の申告をしたいが、時期的に大丈夫か?

などの事情を抱えた人からのものでした。

本日は、今週の火曜日(1月4日)から e-Taxによる確定申告(令和3年分)が可能となった現時点において、「還付申告は、過去分いつまでさかのぼって行えるのか?」を中心に記します。

納めすぎた税金を、適正な「還付申告」を通じて取り戻すことは、納税者ひとりひとりの大切な権利です。

目次(Table of contents)

所得税の「還付申告」とは? また、「還付申告」は、いつまでさかのぼれるのか?

「還付申告」とは?

所得税は、個人の一歴年間(1月1日から12月31日)の所得に対して課せられる国税です。

所得税では、原則、
①納税者自らが、
②一歴年間に生じた、すべての所得とそれに対する所得税等の額を計算し、
③翌年の2月16日から3月までの間に納税地(その個人の住所地など)を管轄する税務署長に「確定申告」を行い、かつ、納付をする、
制度(申告納税制度)をとっています。

ただし、上記②の原則のかたわら、
①勤務先で年末調整を受けられた一般的な会社員、
②年間の公的年金などの収入金額が4百万円以下である、一般的な年金生活者、
③あるいは、年間の所得金額がゼロ、もしくは、赤字になった方、
などは、所得税の「確定申告」が不要になるケースがあります。

また、一方で、源泉徴収された税金や予定納税をした税金が、適正に計算(※)した年間の所得税額よりも多いときは、確定申告を行うことにより、納めすぎていた所得税の還付を受けることができます

※ 冒頭に記した、過去の税金計算に織り込まなかった医療費控除や住宅ローン控除などを含めて。

このときの確定申告のことを「還付申告」といいます。
(税務署から、「『還付申告』してくださいね」等の案内はありません。納税者からのアクションが必要です)

「還付申告」の対象となる期間は? いつまでさかのぼれるのか?

結論から申し上げます。

現時点(2022年1月7日)において、還付申告」が認められる歴年ベース期間は、2017年(平成29年)1月1日からの5年間、つまり、
①2017年(平成29年)1月1日~2017年12月31日、
②2018年(平成30年)1月1日~2018年12月31日、
③2019年(平成31年)1月1日~2019年(令和元年)12月31日、
④2020年(令和2年)1月1日~2020年(令和2年)12月31日、
⑤2021年(令和3年)1月1日~2021年(令和3年)12月31日、
となります。

もう一つ大切なことは、還付申告」については、「2月16日から3月15日まで」のような提出期間が定められていません

暦年終了後(翌年の1月1日以後)は、いつでも提出することができます。

ちなみに、今週の火曜日1月4日よりアクセス可能となった、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」からでも、「還付申告」の提出は可能です。

以下は、その「確定申告書等作成コーナー」(PC版)のトッブ画面に続く、過去年分の申告書等(「還付申告」)を選択する画面のスナップショットです。

出典:国税庁ホームページ「令和3年分確定申告特集」の「確定申告書等作成コーナー」より。赤い下線部分等は、ブログ筆者のもの。

<ご参考‥上記の「5年間」の補足です>
・上述の通り、「還付申告」は、暦年終了後いつでも提出可能なことから、還付請求(時効は5年間)の起算日は、翌年1月1日となります。

・したがって、2016年分の所得税について、過大納付が判明した源泉徴収税額を受けるための 還付請求(還付申告)については‥、
ⅰ)還付請求の起算日は、2017年1月1日、
ⅱ)最終期限は、2021年(昨年)12月31日となり、
ⅲ)年が明けた2022年1月1日以降において、「還付申告」は認められません。

「還付申告」により、所得税の還付を受けることができる主なケース

冒頭にて申し上げた、
①多額の医療費を支出したケース、

②住宅ローンにより、一定の要件のマイホームの新築などを行ったケース
のほか、

③年の途中で退職し、年末調整を受けずに、給与所得にかかる源泉徴収税額が納めすぎとなっているケース、

④年金所得者などが、病気の進行等により所得税法上の「障害者控除」(※)の対象等となり、所得金額をマイナスできるにもかかわらず、そのための確定申告をしないまま、公的年金等にかかる源泉徴収税額が過大納付となっているケース、

所得控除の一つ。また、税法上の「障害者」とは、ⅰ)身体障害者手帳に身体上の障害があると記載されている者、ⅱ)常に就床を要し かつ 複雑な介護を要する者、などを指します


⑤災害や盗難などにより、一定の生活用資産に損害を受けられたケース、

⑥総合課税の配当所得などがある方で、年間の所得が一定額以下であるケース、
などが考えられます。
(とくに、老人ホームなどで独り住まいのお年寄りにおかれては、④や⑥などについてお気づきにならず、源泉徴収された税金が過大の場合が多いか‥と)


なお、所得税の還付金額は、あらかじめ納めた源泉徴収税額や予定納税額が、年間の所得税額を超える部分の金額となりますが、本日は、
・年間の所得税額の計算、
・予定納税額、
などの詳細は省略します。

「更正の請求」との違いには、ご注意ください

確定申告書を提出した後に、計算誤りなど一定の理由により、申告内容に間違いがあり、納めるべき税金が過大であった場合などには、「還付申告」はできません

納税地を管轄する税務署長に対する「更正の請求」により、納めすぎた税金の還付を受けることになります。

(逆に、納めるべき税金に不足額があるときなどは、「修正申告」となります)

むすび

本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。

還付申告」は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間行うことができます。

税務署が混雑する2月16日から3月15日の確定申告期間を避け、確定申告期間前の今でも(あるいは、確定申告期間後でも)行うことができます。

また、「還付申告」は、過去の分も含めて5年間分が対象になるため、思いのほか、多額の還付になることもあります。

ご自身、あるいは、ご家族の所得税に関し、過去5年の範囲にて、
①税額計算のベースとなる所得金額を、マイナスできるものはないか(例:医療費控除・障害者控除・雑損控除など)、
②上記①の後の所得金額につき算出された税額より、控除できるものはないか(例:住宅ローン控除など)、
いま一度、チェックください。