【令和4年度税制改正大綱】「住宅取得等資金の贈与税の非課税」規定は、非課税枠を最大1,000万円に縮小し、2年延長
本日、与党税制調査会は、「令和4年度税制改正大綱」(以下、大綱)をとりまとめました。
(この大綱を反映した税制関連法案が、来年の通常国会に提出され、可決・成立する見通しです)
そのなかで、この12月末までが適用期限であった、父母や祖父母から子や孫などに対する「住宅取得等資金の贈与税の非課税」措置については、2022年1月1日以降は、非課税枠を最大1,000万円に縮小のうえ、2年間延長(2022年1月1日~2023年12月31日)することなどが記されました。
以下、要点を述べます。
目次(Table of contents)
非課税限度額の縮小
現行(2021年12月31日まで)
現行の非課税限度額は、
・住宅用家屋の新築等にかかる消費税率、
・また、契約の締結時期、
に応じて、下表の通りです。
本年、2021年(令和3年)中に契約したときの最大枠は、1,500万円(太字部分)でした。
1.住宅用家屋の新築等にかかる消費税率が10%の場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅(※) | 左記以外の住宅 |
平成31年4月1日から令和2年3月31日まで | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月1日から令和3年12月31日まで | 1,500万円 | 1,000万円 |
2.上記「1」以外の場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅(※) | 左記以外の住宅 |
~平成27年12月31日まで | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成28年1月1日から令和2年3月31日まで | 1,200万円 | 700万円 |
令和2年4月1日から令和3年12月31日まで | 1,000万円 | 500万円 |
※ 所定の、省エネルギー性、耐震性、あるいは、バリアフリー性を備えた住宅。
改正後(2022年1月1日以降)
本日の大綱を見ますと、2022年(令和4年)1月1日以降については、住宅用家屋の取得等にかかる契約の締結時期に関係なく、その新築等をした家屋の区分に応じ、以下の金額となります。
省エネ等住宅で1,000万円、それ以外の家屋は500万円と、現行対比、それぞれ 500万円縮小します
省エネ等住宅(※) | 左記以外の住宅 |
1,000万円 | 500万円 |
※ 所定の、省エネルギー性、耐震性、あるいは、バリアフリー性を備えた住宅。
そのほかの改正点
以下の二点です。
(上記の非課税枠の縮小と比べますと、影響は小さいと考えます)。
なお、上述の非課税枠の縮小と、これら二点の変更を除けば、大綱を見る限り、そのほかの要件の変更はありません。
適用対象となる既存住宅用家屋(中古住宅)の、一部変更
現在は、築年数要件が設けられています。
具体的には、
・耐火建築物の場合、建築後25年以内であること
・それ以外の建築の場合、建築後20年以内であること
大綱では、これらが撤廃される一方、「『新耐震基準に適合している住宅用家屋(※)』であること」との要件が追加されています。
※ 登記簿上の建築日付けが昭和57年1月1日以降の家屋は、「新耐震基準に適合している住宅用家屋」とみなされる予定
受贈者の年齢要件の引き下げ
現在は、「住宅取得等資金の贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上」です。
これが、大綱では「住宅取得等資金の贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上」に引き下げられています。
(2022年4月1日施行の成年年齢の引き下げ(20歳⇒18歳)に連動してます)
ただし、この項目は、2022年4月1日以降の適用です。
したがって、2022年1月1日から2022年3月31日においては、「2022年1月1日時点で、20歳以上」の人への贈与のみが対象となります。
むすび
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
子どもさん、あるいは、お孫さんの住宅取得を応援しようとお考えの方の中には、「来年1月以降の、この規定の扱いがどのようになるか…」気をもんでおられた方も少なくないと思います。
そうした親御さんたちにとって、非課税枠が最大1,000円と、現行と比べて、500万円のスケールダウンとなることは、「冷や水」をあびせられた印象を持たれるかもしれません‥。
本日は、要点をお伝えするにとどまりましたが、ご参考になるところがあれば幸いです。
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