隣地との境界確認などの手がかり(その3)‥相続財産調査(高齢者の財産管理) ④

本日は、敷地境界線の確認などの手がかりとなる三つ目の資料として、「建物図面」について記します。

なお、記載内容は、近年、ご自宅を建築された方などにおかれては、ご存知のことがほとんどと存じます。

ただ、この記事は、
①「空き家」になっている不動産を売りたいものの、隣地との敷地境界線が不明な方、
②ご自身や身近な方が有する不動産の相続税対策や有効活用を検討中ながら、家を建てたときの資料が一切残っていない方、
などを念頭に、『建築図面は、どのような局面で役に立つのか?』をお伝えすることを主目的としています。

あらかじめ、ご了承ください。

「建物図面」とは?

建物の登記申請の際に添付が求められる書類の一つです。

一筆の中での建物の位置が示されているほか、次の事項が記されています。
・建物の所在地、家屋番号、
・方位、縮尺、
・その土地と隣地の地番、
・作製者(土地家屋調査士等)、作成年月日、
など。

建物図面」は、各階ごとの建物の寸法概要を示す「各階平面図」とセットで、同一の書面に描かれています。
(下の抜粋画像の左側が「各階平面図」、右側が「建物図面」です)

「建物図面」が、隣地境界線の確認に役立つ理由

一筆の土地において、一部のポイントながら、隣地境界線と建物との距離を記しつつ、建物の位置が示されているためです。

つまり、建物が、土地のどの位置に存在しているかが分るため、逆に、建物の端から距離を測ることにより、境界を把握する手がかりとなります。

以下の「建物図面」(抜粋)をごらんください。記されている数値は、“筆”の境界から建物の端までの距離(単位m)です。

建物の端から距離を測ることにより、境界を把握することができます。


次に、以下の写真は、建物の端から隣地(上記画像の左側)との間に存在するブロック塀との距離を、現地で実際に、巻き尺にて簡易計測したものです。

敷地境界線について、
・ブロック塀のどちらの端?
・あるいは、真んなか?
などを確認する糸口になります。

「建築図面」の留意点

「建物図面」は、未登記などの場合には、存在しません

建物図面」は、建物を登記する際の添付(補完)書類であるためです。

また、敷地形状や隣地境界線との距離などについての”精度”は、その製作に携わられた専門家次第と言われています。

さらに、隣地所有者は、そもそも境界線について異なる見解をお持ちかもしれません。

特に、隣地所有者との間で争いをはらんでおられる場合は、「『こちらサイド』からの隣地境界線の確認の手がかり」と捉えてください。

役所の、どの部署が窓口? ~ どの部署で、閲覧、あるいは、写しの交付を受けることができるのか ~

基本的には、以下の二つです(ともに、有料)。
・最寄りの法務局にて、交付申請を行い、写しを取得(法務所まで遠い等のケースは、郵送で申請)、
・あるいは、「登記情報提供サービス」を利用し、ダウンロード。

従前のブログにも記しましたが、後者の「登記情報提供サービス」は、窓口の書面請求よりも安く、自宅などのPC画面上で内容を確認できるため、便利です。

ご参考情報として、「登記情報提供サービス」へログイン後の「建物図面」の請求事項入力画面を、以下にかかげます。

むすび

本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。

不動産にかかる重要書類は、本来、当初の所有者だけでなく、後々の世代まで、大切に引き継がれることが望ましいです。

とはいえ、資産を継承された方の健康や、そのほかの事情により、月日が過ぎるなか、見当たらなくなるケースも少なくないと思います。

そのようなとき、「建物図面」は、現地での敷地境界線の確認の手がかりとなります。

先月のブログにも記しましたが、一連のブログの題材となった、わたくしの叔父宅の場合、
・「土地区画整理事業等にかかる図面」、
・また、「建築計画概要書」、
は、保存期間の問題から、役所に保管されておらず、ただ一つ残っていたのは、この「建物図面」でした。
(しかも、事前に、あるいは、机上で入手可能)

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